水に燃え立つ螢

凛と別れた翌日、俺は美里と会った。すぐにでも、産まれてくる子供のために入籍をした。

それが最善だと俺は思っていたが、凛への気持ちが消えないのに、本当にこのままでいいのかと直前まで迷った。

寂しさを埋めようとして、軽く始めた関係だった。思わず続いて、自分でも驚いた相手だった。

だが、常に凛がいた。

突然消えたアイツに、未練タラタラだった。

もしも凛が目の前に現れたら、美里とはすぐに別れる自信まであったくらいだ。


凛を大阪から連れ帰った日の夜、美里に別れて欲しいと告げた。



俺が凛を支えてやりたい。
今度こそ、離さない。


そう、思ったんだ。


まさか、あの時既に妊娠していたなんて…



美里と入籍してすぐに、元気な女の子が産まれた。

嬉しい…?

そんな感情など存在しなかった。



俺はまだ、
凛の匂いも、
凛の涙も…
何ひとつ忘れていない。



それなのにいきなり父親で、名前を考えてやりたくても『凛』しか浮かばない俺…


美里は、俺が凛を忘れていないことを、感じていた。