水に燃え立つ螢

「全部…読んだよ」


父は私の隣に腰を降ろし、深くため息をつく。


「お願いがあります」


父に手紙を渡せたら、必ず言うつもりだった。



「母の手紙を見せて欲しいんです…」

「最愛?」

一路も驚いている。

「母の本当の気持ちが、知りたいんです」

「ちょっと待ってな」


父は席を立ち、母の手紙を私に渡した。封筒の中から三つ折りにされた手紙を出し、母の字を追った。




『流星へ』

延々と連なる母の文字は、時折、強弱を繰り返していた。ペンの先にさえ力を届けられない程、弱っていく母を再び見ることになるとは…

母はとにかく、父に感謝していた。



そして『今も愛しています』と…



母と生きた18年。

あの時も、あの時も、あの時も…母は夜空に父を見ていたんだ。



母の貫いた人生に、私は心から誇りを持つ。

私が、父との間の子供であることも。