水に燃え立つ螢

仕事を終えて、降り出した雨の中を歩いた。


『新聞に載せてみよう!』


父への壁をどうしても突き破りたい。できることは全部やってから、最終手段で探偵に頼んでみよう。

色々考えながら、あの駅に着いた。階段を登り、ふと顔を上げると一路が立っていた。


「どう…したの…?」

「雨だからな!」

「傘…あるよ?」



階段の天辺に立つ私は、家路を急ぐ人達の邪魔をしていたようで、一路に腕を引かれて天辺付近から移動した。


「寝たか?」

「勿論」

「あんま、考えすぎるなよ」

「あ!心配してくれてるの?」


一路は口を大きく開けたまま、次第に呆れ顔へと変わった。


「お袋が、今日うちで飯食えってよ」

「ホント!?」

「嬉しそうだな…」



一路の家に着く頃、雨が本格的になった。



「お邪魔しまーす」

「お帰りーッ!」

廊下の奥からおばさんの声がした。リビングに顔を出すと、おじさんがいて笑ってくれた。


一路の家は温かい。


家族の匂いがする。




鞄を床に置いて、おばさんのいるキッチンへと向かった。

「何か手伝うよ」

「あらそう?じゃあ、お料理運んでくれる?」

「うん!」

カウンターキッチンの側のテーブルに、おばさんの作った料理を運んだ。