水に燃え立つ螢

私の家族。それは、母一人。


ずっとそれが当たり前で、他の家族を求めたことはない。母には兄弟もなく、母も一人で生きてきた。

そんな母が、唯一『付き合い』をしていたのが一路の家族だった。


母のお葬式で母の交友関係を知ったが、会社関係の人以外、特別な付き合いの人はいなかった。


お葬式なんて関わったことのない行事を、色々教えてくれたのは一路の両親だった。


「これからは、私たちを家族だと思ってね」


母の棺の前で、おじさんとおばさんは言ってくれた。



天涯孤独になった私を、ふわりと包んでくれた様な、そんな温かさを感じたのを覚えている。




「人間て、一人は寂しいよね」


お通夜の母の遺体に語りかけた私に、一路は背中で言った。


「お前は一人じゃねーよ」





母を亡くして残ったもの、それは母が残してくれたもの。



一路も、一路の家族も。