でも、
予想とは裏腹に
イセルナは俺に答えるように
首に腕を回した。
予想外の展開に
俺は自分でも気づかないうちに
本気になっていた。
なにやら後ろから
人の話し声が聞こえる。
マジになったら
目的地に着いていたことにも
気づかなかった。
ゆっくりイセルナから離れると
さっきまでとは違い
今まで見たことのない
女の顔になっていた。
それに少しなからず
動揺している自分に
また更に動揺していた。
俺が動揺してる間に
イセルナはさっさと
床に落ちた剣を拾い
エレベーターから出てった。
「おいッッ!待てよ!」
なんでこいつは
こんなに余裕かまして
いられるんだ!?
追いかけてイセルナを捕まえる。
振り返った彼女の眼は
また冷ややかさを
取り戻していた。
「何でそんな
おあずけ食らった
犬みたいな顔してるの?
まだ何か足りない?」
「お前………。
さっさと行ってこいよ…」
「捕まえといて
それはなくない?」
「あぁ、
悪かったよ」
「あんな制限時間付きの場所で
するからでしょ?
でも………
あんたの目的は
果たせたんじゃない?」
不敵な笑みを浮かべながら
そう言い残して
指令室へ入っていった。
あいつは何だ?
なんであんなに
口が達者なんだ?
あいつは俺よりも
遥かに上手なのか?
動揺すらしてねぇ。
なんとなく敗北感があった。
始めて会った頃から
生意気だったけどな。
それは年々
落ち着いてくるどころか
どんどん増していた。
俺はあいつには勝てねぇ。
そう感じた。
けどそれがあいつを
おもしろく感じさせる、
俺の本能を掻き立てる
原因の1つなんだろう。


