10月10日弱。
少し早く我が子は誕生した。
漆黒の髪。
灰色の瞳。
見た目は完璧に
イセルナに似た男の子だ。
でも……この目付きの悪さは
間違いなく俺だった。
どこも俺と似てるとこが
なかったらどうしようかと
正直焦ったが、
その心配はなかったようだ。
イセルナは息子を
ファルクスと名付けた。
なぜファルクスかはわからないが
もうずっと決めていたらしい。
幸せで………
幸せすぎて……
この日々はずっと
続いていくと思っていた。
何気なく年月は過ぎて……。
だけど…………。
「俺ずっと色々
調べてたんだけどさ」
「なんだよ?」
「ちゃんと真面目に聞く?」
「俺はいつだって真面目だよ」
「途中で怒鳴ったり
取り乱したりすんなよ?」
「もったいぶってねぇで
早く言えよ」
「………言いにくいんだけどさ、
イセルナはもうあんまり長くは
生きられない」
「………は?」
「だから………、
イセルナはもうあんまり長くは
生きられない。
出産前出産後、
俺は診てきたけど
ちょっと
引っ掛かる事があってね。
でもはっきりとは
言い切れなかったから
ずっと調べてたんだよね」
「………何をだ?」
「体力の低下が著しい。
非常識なまでに」
「それは昔みたいに
動いてないからだろ?」
「それも考えたけど、
あれは極端すぎる」
「それで……?
原因はわかったのか?」
「原因は恐らく肉体の劣化だ」
「劣化?」
「うん。
イセルナはあくまでも
試作品にすぎなかったんだよ。
イージスはイセルナがうまくいけば
また別に本体を
量産してからもう一度
イセルナの魂を抜いて
それをいくつも分割して
使おうとしてたんだよ。
2000年前の魂『アストライア』は
1つの魂を何分割にも
することができる。
イセルナはあくまでも試作品。
元々長く寿命は
設定されていない……。
ましてやあの体は
一度死んでいる。
ファルクスの出産でギリギリ。
次はないと思ってた方がいい。
あとは怪我にはじゅうぶん
気を付けるようにしてくれ。
たぶん怪我したら
再生できない」


