イージスに文句言ってやろうかとその日の晩に家へ押し掛けたが、既に家には居らず、それからイージスの姿を見る事はなかった。


どうやらイセルナは剣に興味を持ったようで、様子を見ながらイセルナに剣を握らせてみた。だが、やってみて後悔した。恐ろしいスピードで教えた事を飲み込んでいく。



剣を与えた事で数年後には俺自身がイセルナを人間兵器に育て上げてしまった。せめてもの救いは基本のみで新しい事は教え込まないでいた事。決して必要のない時には剣を抜かない事。それだけでも既に俺を超すくらいの力を身に付けていた。でも本人は全くその自覚がなかった。



頼むから。これ以上は何も望まないでくれ。お前は今のままで……。そのままでいてくれればいい。もう強くなる必要はない。『人間』でいてくれ。そう………『人間』で。一度は共に生きようと思った。けど、お前が人間ではない事実を知る人間が居てはならない。俺とイージスは少なからず共犯だ。消えるべきだ。消えればホムンクルスの情報源もなくなるんだから。



さぁ。
お前はお前の道を歩け。
俺が最後に教えてやれる事は
それだけだ。




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