その生徒を見つけたのは、そんな時だった。

廊下ですれ違ったその女生徒に、俺は吸い寄せられるような魅力を感じた。

10代とは思えないほどの妖艶な雰囲気。

可憐さと色気を併せ持ち、その物腰は同い年の生徒達と比べても穏やかで物静か。

決して目立つような言動はしないものの、それでも騒々しい生徒達の中にあって、際立つような存在感を放っていた。

「あー…あの子はどこのクラスかな?」

それとなく、俺は近くにいた男子生徒に、その女生徒の事を聞いてみる。

「あ、3年の曽根崎伽羅子さんですよ」

「そねざき…きゃらこ…」

珍しい名前だ。

にもかかわらず、俺はその名をどこかで聞いたような気がしていた。