伽羅子ほどの大人びた雰囲気の生徒でも、俺の手にかかればこんなもんか。

少々物足りなさすら感じてしまう。

その時だった。

「ふ…ふふ…ふふふふふっ…」

突然。

伽羅子が俯き加減に笑う。

「ど、どうした、曽根崎?」

問いかける俺に対し。

「相変わらずなんですね、先生」

伽羅子は肩にかかった長い黒髪を片手で払った。

その艶っぽい仕草に、思わず目を奪われてしまう。

…相変わらず無表情なままの伽羅子。

しかしその無表情も、先程までとは少々違っていた。