「っしゃ!今日は歌うぜ!最初は何からいく?タケル。詩織はアレ上手いよな、ほら、ユウと一緒の…」
……。
学校からの帰り道。
いつもならふざけてちょっかいを出すことも普通だったはずが、変に他人行儀になったユウのせいで、オレもなんとなく話しかけづらくなってた。
詩織とタケルが前を歩く後ろで、ユウはオレの方に視線を向けることもなくて。
「予約入れとかなくてよかったかな。週末だしさぁ」
「ちょっとの待ち時間くらいなら下のゲーセンでつぶせるだろ。なぁ、亮」
風が吹くと、ぎゅっと袖の中に手を入れる仕草で、心がドキッと反応するたびに
本当なら、からかい紛れに抱き寄せることだってできてたのに。
「おい、聞いてんのか亮」
「え、あぁ。うん、大丈夫なんじゃね?」
「なんかお前テキトー」
いつもと同じ景色の中で、4人の位置だって全然変わらない。
でも、なんかこれっておかしいよ。
オレ、ユウとこんな風になりたかったんだっけ……

