キミのヤキモチ



オレを見るなり、「ゲ!」とでも言いたそうな顔で振り返った詩織は、タケルの存在にも気付いてスッとその表情を澄まして見せる。

こんなにわかりやすい奴も珍しい。

いや、オレとユウもか。



「詩織、ユウのことも誘ってくれた?」

「一応ね」

「それで?オレたちが付き合ったことについてはなんか聞いてきた?」



オレがワクワクしてる横で、タケルは呆れて昼寝の体制に入る。

それを詩織が気にするから、オレは詩織を少し先の階段下に引っ張って行って話を聞こうと耳を寄せた。

そこでため息をつく詩織。



「もぅ…。聞かれるも何も、なんか遠慮してるみたいにその話には触れてこないよ」

「え、そうなの?」



それはちょっと期待はずれ。てっきり質問攻めにあってると思ったのに。



「ねぇ、なんかこれやめない?ユウが可哀想になるもん」

「なにそれ!なんか変わった様子あった?」



顔を歪ませた詩織の言葉で、オレはそれが聞きたかったとばかりに一層詩織に詰め寄った。すると



「ユウ」

「ん?」



詩織の呼びかけに後ろを向くと、オレと詩織が話してた階段の隅でユウがこっちを見てる。

たしかに遠慮してるのか、必要以上にはオレたちに近づいてこないけど。