キミのヤキモチ


ソファの上に置き去りにされてたぬいぐるみを持って、オレは慌てて部屋を出た。

なんか、あの先輩ヤローがくれたものを、オレ自身が抱えてること自体イラつくけど。



「あーっ、もう!なんでこうなるんだよ」



オレの腕の先で、間抜けに笑う猫がぶらんぶらん揺れて

週末の放課後は、制服の客がうざいくらいに溢れてて。



「あ、おい。ユウっ…」



なんとかユウの後ろ姿は発見できたけど。



またあいつか……



ユウはあの店員に話しかけられてた。

でも、それもほんの一瞬で。ユウはまたその場を走り去る。

オレもすぐその後を追いかけようと、あいつの前を素通りしようとも思ったけど

なんとなくそれも、やりにくいっていうか。



「あ…あのさ。このぬいぐるみのお金オレ払うから」

「は?……あぁ、お前ユウと一緒にいた奴ね。だからそれ非売品だから。値段なんてないし」

「でも払う!」



こいつからのプレゼントだって思うと、届けるのもイヤになる。

オレは無理やりに三千円を手渡した。

だいたい、それくらいかなって安易な予想で…



「はぁ…っ。こんなんじゃ足りないけど、これで気が済むなら受け取るよ。でもさ、お前が近くにいると、たぶんずっとユウを苦しめるだけだと思うよ」

「なっ!なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ。それに…、お前に何がわかんの?」

「当人じゃないからわかるんだって。お前の行動、ガキっぽくて見てて疲れる」

「……っ!?」



なんだよこいつ!

1こ上なだけのくせして、オレをガキとか、ムカつくんだけど!



「お前に関係ねーよっ!」