キミのヤキモチ



そしてその時、ふと気付いたんだ。

テーブルの上の雰囲気が、いつもと違うこと。



「あれ…、ユウっていつもフルーツミックスだっただろ」

「え……、うん。今日はちょっと違う飲み物にしてみようかなって」

「…………」



何を飲もうが自由だって、そう思うだろ。

でもこれはなんか違う。



飲み物と言えば、決まってユウとオレはいつもフルーツミックスで。

なんでそこまでお揃いなんだとか、気が合うんだとかって

周りにからかわれながらも、二人で「別にいいだろ〜」って、照れながら顔を見合わせたりして。



なんていうか、だから…



「ねぇ、ユウはなんか歌わないの?」

「うーん…今日はいいかな」

「ええー!なんで」



遠慮してる。
ユウが全部に気を使ってる。

オレとの仲を、離そう離そうってしてるのが、何も言わなくたって態度でわかって。

そんなんじゃ、全然楽しくないし、オレはユウとこんな感じなんてイヤだし

ただ、もういろんなことが気にくわなくて。



「なんか、つまんねーわ…」



思わず口から出た言葉。

当然、そんなつもりで言ったんじゃなかったんだけど



「…ごめ、ん……」

「え!あ、違うってユウ」



小さく呟いたユウが、そのまま部屋を出て行った。

バタン!



「ユウ!」



そしてオレは、動けないまま頭の中で言い訳を繰り返してる。



ちがう!そうじゃなくてそうじゃなくて!

オレはやっぱりユウとは仲良くしてたくて

ううん、それだけじゃなくて、特別っていうか、他の奴らとは違うっていうか

こんな状態のままだとつまんないから、元に戻したいってことが言いたかったって…



「追いかけないの?」

「は!い、今追いかけるよっ」