誰も歌わないカラオケが、小さな部屋の中で流れてた。
オレはただ座り込んで、頭をがっくり下げて。
「自分勝手に落ち込んでるのとかバカみたいなんですけど」
「うるせーよ」
元々は近くにいたのに、誰よりも近い距離だったはずなのに
今は何かしようとするたびに、遠く離れてく気がする。
早く、早く戻さなきゃって…
「別に冗談だったって言えばすむことなんじゃない?」
「そうだけど!…なんでそんなことしたんだって怒るかもしれないだろ」
「好きだからって言えばいいじゃん」
「は?なんで!」
「ヤキモチ妬いてみてほしくて、ついやっちゃいましたって」
「……っ!」
言えるか、そんなの!
なんかそれって、普通に告白するよりカッコ悪いし。
男のくせに、
情けないっていうか。
否定はできないけど。
「素直に言えないのとかダサイ」
「お前に言われたくねーよ!」
半分ケンカみたいに詩織と言い合ってると、そこへ飲み物を買いに行ったユウとタケルが戻ってきた。
相変わらずコノヤロウなタケルは、変な演技を続けてて。
「付き合って早々けんかとかってどうなんだよ。ちゃんと仲良くしとかないとさぁ」
買ってきたパックジュースをテーブルに置きながら、やんわりと笑顔を見せる。
タケル〜っ!!(怒)

