キミのヤキモチ



「い、今ユウにも取ってやるよ」



何を焦ったのか。

オレは急いでポケットの中の小銭を探って、ユウにも同じものを取ってやろうとゲーム機にはり付いた。

自分でやったことなのに、なんかもう、辛そうなユウを見るのが苦しくなってきて。

寂しそうに笑う顔なんて、見てられなくて。



詩織には先に渡したんだから、別に、おかしくないよな?

絶対取る!
絶対もうひとつ取るから…




「ユウ!プレゼント」

「えっ、先輩…」



は!?



必死になってたオレの後ろに、急に現れたそのキャラクター。

オレが取ったものより、数倍の大きさがある。



「ユウってたしか、中学の時からこのキャラ好きだったよなって思い出してさ。非売品だけど特別にプレゼント」

「先輩、そんなこと覚えてたんですか」

「そりゃ一番に可愛がってた後輩のことだからね。当然といえば当然かな」



そんな風に得意げに言ったのはさっきのあの店員。

なんだよこいつ!
なんか腹立つ!



戸惑いながらも、ちょっと笑いながら嬉しそうにそれをもらうユウ。

小さいユウが抱えると、その細い腕から溢れそうなくらいそれは大きくて。



コトン…



オレが操作してたゲーム機の中では、むなしく二つ目のぬいぐるみが取り出しボックスに落ちた。