無我夢中でただひたすら
前へ前へ進んだ。
お母さんのいる所へ
お母さんがいる
住所を握りしめて
私は一人になりたく
なかったんだ。
もう昔には戻りたくない。
自分のことでいっぱいだった。
―松島―
住所の所に位置する家の表札にはそう書かれていた。
白い屋根にベランダ。
玄関の端に子ども用の自転車が置かれていた。
この家にお母さんがいるなんて信じられなかった。
家の中を確認したくて玄関に一歩足を入れた。
「まま~!
今日の晩御飯なにい?」
背後からした声に急いで近くの電柱の後ろに移動した。
「今日はリカの好きなカレーライスよ」
「やったあ~!」
「パパもママのカレー大好きだから嬉しいよ。良かったなあっリカ!」
ドラマにでも出てきそうな
アットホームな家族。


