初恋ドロップ



住所の書かれた紙を
グシャっと握り潰した


とどまることを知らない涙がまた流れ出す



「・・紗裕はどうしたいんだ?」

紙を握り潰している私の手の上からそっと手を重ねた



どうしたい?

あの雨の降った日
私は捨てられた

迎えに来てくれると
信じてた心は一瞬に砕かれた

私のお母さん

でも、私じゃない家族がいる


そんな、『お母さん』



忘れることが出来たら
どんなに幸せなんだろ


お母さんの記憶を消したら
今持っている幸せを全身で
感じることができるのに


でも「思い出」が邪魔をする


過去の古い幸せが
私を縛り付ける


もう一度だけ


あと一度だけでいいから


「―・・っあいたい

お母さんにあいたい」


まだ、信じたい
私のお母さんを信じたい