「絶対俺がお前振り向かせてやるで!!
覚悟しとけや!」
「絶対振り向けない!」
ゴメンね。礼・・・
でも、こうなったらはっきり言っておかないと!
私は駿しか見えないんだ。
耳をふさいで帰っていく礼に後ろから叫んだ。
「なんも聞こえんで~」
礼はそう言いながら押していた自転車に飛び乗り帰っていった。
「紗裕・・・市原君のことちょっとも好きじゃないん?
だって・・・
ずっと一緒にいたんやろ?」
珍しく流花が真剣に聞いてきた。
―好きか嫌いか―
そんなの好きに決まってる
だけど大事な「友達」
それ以上でもそれ以下でもない
大事な存在
本当に大事な存在なんだ。
私はこの時知らなかった
人の気持ちの難しいさを
簡単に割りきれるものじゃないってことを
欲しいなら求める
私が駿を求めるように
こんな簡単なことを
私は知らなかったね