初恋ドロップ




「――紗裕?

サ―ユちゃん――

おい、紗裕!」



初めは、普通に

次に、少し甘く

そして、最後に少しきつく


声をかけても起きる気配なし。


仕方ないから、揺すって起こそうと

彼女に手を伸ばす




しかし、先に手が伸びてきたのは彼女の方だった

「まっ・・・・て――

待って!


行かないで!!」



手が伸びるだけでなく
俺に襲いかかる勢いだ


「おい!ちょっ・・・・


『ゴツン』」


鈍くて痛そうな音が
教室に響いた


彼女の頭と俺の頭が
見事にぶつかった




―――これぞ不意討ち