ザ――――
―ザザ―――
―――
「スースー・・・・」
後ろの席から聞こえてくる規則正しい呼吸音――
もちろん、彼女の寝息
この強い雨音と騒がしい教室の雑音に負けない彼女の呼吸音が耳に残る―
「全く!朝からどれだけ寝るのかしら!」
彼女は麻理子に頭をつつかれようが、脇腹をこそばされようが目を開けることはなかった。
「ど―せ、昨日も夜遅くまでバイトしてたんだろ」
「あっ!そうだった。
頑張るのはいいけど、体が壊れたらって考えほしいわよ。
全く―・・無理しちゃって」
――――そう、
彼女は無理をする。
無理をするのが得意技
って言いたくなるくらい
高校に入学して2ヶ月
たかが2ヶ月、されど2ヶ月
俺が彼女を知るには
十分な時間だった。


