渡辺鈴子、19歳。
大学二年生。
細く、長い黒髪。
すらっとした手足。
憂いを帯びた目元。
19歳とは思えない印象のせいか
こういう態度も様になる。
と、言ったところか…
そんなことを考えながら
紅茶を差し出せば
「先生、なに笑ってんの?」
なんて、拗ね出す彼女に
「鈴ちゃんも、やっぱり
19歳なんだなと思って」
と繕う。
さっきまで弦を奏でた
其の指で、ティーカップを
口元へ運んでからは
彼女は静かになった。
少し冷たくなった風が
部屋に音も立てずに
入り込む。
この空間には
ちょうどよかった。
