『う〜‥寒っ‥』


顔の前で手を擦りながら息を吹き掛ける。


白い息がピンクベージュのネイルを覆う。



ヒロ遅いな−…




お金がないあたしたちは普通電車で帰る予定だったから、あまり時間もなかった。



帰ってから、あたしたちと同じ頃に付き合いだした賢治と朱美カップルと遊ぶ予定にもなっていた。




『さやかお待たせ〜』


『遅いよ!』


『うん。』


ヒロは悪びれもせずに笑顔を見せた。


『ごめんなさいは?』

ヒロを横目で睨みながら、再びヒロのポケットに手を突っ込んだ。


『俺、謝るの嫌いだし。』

ヒロの口癖だ。


『あっそ。』



大袈裟にため息をついて見せた。


『そろそろ行くか』


『何も買わなくていいの?』


『うん。時間ないし。』



本当にヒロは自分勝手だ。