家に帰るとシャワーを浴びてバッグに荷物を詰め込んだ。


家具がいらなければ、必要なものはほとんどなかった。



階段を降りると祖父に会った。


『あたし今日から向こうの家に行くから。』


『そうか。』


それ以上、祖父は何も言わなかった。




あたし何も孝行って言えることしてなかったね。


ごめんなさい。



だけど



あたしのことを一番分かってくれてたのは、やっぱり育ててくれた二人だったんだよね。


気付いたときには遅い。


人は何で大切なことに気付けないのかな?


あのとき気付いていれば…


そう思っても、引き返すことなんか出来ないのに。