『もしもし?』


電話をかけながら、近所を歩く。


家にいるのが嫌だった。



『さやか?話した?』


ヒロに何て言えばいいんだろう…。


『ヒロは?』


『話したよ!おかぁ喜んでたよ!明日にでもうちに飯食いに来いって!』


ヒロが楽しそうに話す。


『そっか。うちは反対されちゃった‥』


ヒロとは正反対に沈んだ声で話す。



『まじで?オレ話しに行こうか?』



ヒロが話に来たら、あの二人のことだ。

ヒロにひどいことばかり言うだろう。


『おじいちゃんにもおばあちゃんにも、かなり文句言われると思うよ?』


『あぁ〜‥そしたらオレ殴っちゃうかもしんない。我慢出来ないと思う。』


え…?何それ。


『オレ行きたくないな。まあ、そのうち分かってくれるでしょ。』


結婚ってそんなもの?


確かに本人同士の問題だけど…。



『とりあえず今から会うか?』


『うん。会いたいっ!』



あたしは現実から目をそらした。