「みっ………みんな…、ほんまにありがとう………!」
「別にええって、そんなん。
ほらっ、はよ上がらなHR始まってまうで?
遅れたらウサうるさいやん。
はよ上がろ!!」
栞が翡翠くんの手引いて、校舎の中に消えた。
……なんやよー分からんけど、友達がひとり増えたみたいやな。
「………にしてもさー。
涼くんからしても翡翠くんからしても、恋敵になるんちゃうん?
複雑じゃないわけ?
これから、友達として付き合うん」
正直なところを涼くんに言った。
だって、そーちゃうん?
自分の恋人好きなヤツと仲良くできるもんなん?
………あたしは無理やな。
絶っ対敵意むき出しや。
『あたしのダーリンに近づくな!!』みたいな。
『そんな猫なで声、どっから出るんじゃ!!』みたいな。
『あたしはそんな声、出されへんぞ!!』みたいな。
「……なんか説明しにくいんやけど………。
それはそれ、これはこれ…みたいな?
悪いヤツやないと思うし、同じ人好きなだけやん。
別の意味やったら、なんか好みとか合いそうやし」
…柔らかい笑顔で話す涼くん見て。

