「俺は桜は…あんまり好きじゃないんだ」 翼が言った。 ――エッ 翼はどこか桜に似ていた。 だからどこかで 翼は桜が好きって決めつけてた。 でも違うんだ。 「じゃあさ、なん」 言いかけてやめた。 その時の翼は 出逢った時と同じように 触れると消えてしまいそうで 壊れそうな 悲哀に満ちた表情だった。