「賢二、私には歌ってくれないのね」
僕の隣にいるお高くとまったお嬢様は『西条加奈子』
一応僕の彼女だ。
別に好きじゃない。
そんなの加奈子も知ってるはずなのに加奈子は別れなかった。
「お姉さん帰ったみたいね、残念」
加奈子は賢二の顔を覗き込みながら言った。
計算高く、金持ちでプライドの塊のような加奈子は僕の一番嫌いなタイプ
「賢二今日は煙草吸わないの?」
加奈子と付き合うきっかけは煙草を吸ってるところを目撃されたことだ。
「内緒にしてあげるかわりに私と付き合って」
なんて…金持ちのお嬢様が考えることはわからない。
何でも自分の思い通りにいくと思っているのがさらに嫌だった。
でも加奈子と付き合った本当の理由は姉ちゃんへの気持ちを断ち切るためだった。
「加奈子、もう帰るからまたね。お前も親が心配するから早く帰りなよ」
「賢二、私のことまだ好きにならないの?」
「加奈子はモテるんだからもっといい男と付き合いなよ」
賢二はそう言うと振り返ることもなく歩き出した