「大丈夫?なにもされなかった?」
その人が私の方に駆け寄ってきた。
「あっ、はい。」
「そっか、良かった。」
その人は、そう言って優しい顔で微笑んだ。
やっぱり、カッコいい。
自分の顔が、少し熱くなっていったのが分かった。
「あの…「あっ、もうすぐ時間だ。」
その人はじゃあね、と言って走り去っていった。
私はその人が見えなくなるまで、走っていく後ろ姿をずっと見ていた。
ってか、お礼言ってないし、名前聞いてないし。
後から、ちょっと後悔した。
また……逢えるかな。
そんな思いを抱きながら私は家に帰った。

