「じゃあもし、見つからなかったら?」
「それは“見つからなかった”じゃなくて、“気付かなかった”もしそうなったとしたら、その人に対して自分は何も思ってなかったってこと。」
私が言い終わると、春佳は一瞬不思議な顔をしたけど、すぐに分かったみたいで笑顔になった。
「ありがと、私頑張る!」
そう言って、春佳は屋上を出て、階段を降りていった。
私はのんびり教室に戻ろうかなって思ったけど、すぐにチャイムが鳴ったので焦って階段を降りていった。
教室に着くと、もうとっくに先生が着ていて少し怒られてしまった。
私は静かに自分の席に座ると、ノートと教科書を机の上に置いた。
すると、早速先生が黒板に言葉を書き始めたからそれを必至でノートに書き写した。
チラッと斜め前の方を見ると、よっくんをジーッと見つめたまま目を離さない春佳がいた。
いくら何でもそこまでしなくても…。
少し恐いかも…。
そんな春佳の姿を私は笑いを堪えながら見ていた。

