「ねぇ〜、誰なの?」
うわ〜、しつこい。
春佳がここまで、しつこい人だったとは知らなかった…。
高杉龍介のこと、言っていいのかな?
でも、そうしたら春佳のしつこさが更にヒートアップしそう……。
……どうしよ…。
逃げたい―――。
「この前、不良に絡まれてる所を助けてくれた人、お礼言ってなかったから言いに言っただけだよ。」
私は高杉龍介の名前は言わなかった。
「そっかぁ〜…。」
春佳が残念そうに言った。
いったい何を期待してたの?
春佳のせいで溜め息が出そうになる。
「でもさ〜、メアド交換したって事は会ったりしてるんでしょ?」
「えっ、なんで?」
「だって携帯、出してたじゃん。」
春佳…侮れない…。
そこまで見てたの?
「メアドは交換したよ、でも1回しか会ってない。」
「なんだ、会ってんじゃん、どんな人?」
えっ……その質問、聞いてほしくなかったな。
やっぱり言わなきゃダメかな?
ごまかそう……。
「まだわかんない、会ったばっかりだし……。」
「“まだ”ってことはこれからってこと?」
ゔっ、ごまかせない。
「そんなのじゃないって、ってか春佳は私とその人が恋愛に発展するとでも思ってる訳?」
「うん!」
春佳は満面の笑みで言った。
こういう時の春佳って結構、恐いなぁ……。

