目が覚めると、もう朝で私の目には涙が溢れていた。
変な夢だった。
嫌な夢だった。
舞斗は私のこと、双子の妹としか思ってないはず。
なのに、あの夢の中では私が高杉龍介と手を繋いで歩いているだけで、あんな顔をするなんて…。
まるで、私のこと好きみたいじゃん。
なんて、都合のいい夢だ。
……心の中では、そうだったらいいのにって思う自分がいた。
でも、例え夢の中でも舞斗が泣いている姿なんて見たくなかった。
私も悲しくなっちゃうよ。
そう思いながら、私は学校に行く準備をした。
学校でも、今日の夢の中での事が頭から離れず、ずっと上の空だった。
昼休み。
「舞歩どうしたの〜?今日はずっと元気ないじゃん?」
春佳が心配そうに聞いてきた。
「うん、あのさ〜…。」
……あっ、そっか春佳は私に双子の兄がいること知らないんだ。
いくら親友の春佳でもこれは絶対言えない。
もし、言ったら見捨てられるかも、親友じゃなくなるかも。
そんな不安がこみ上げてくる。
考えただけで、涙が出そうになった。
私は涙を堪えるように、俯いた。
すると、私の行動が不自然に思えたのか春佳は「どうしたの?」と聞いてきた。
「なんでもない。あれ、何言おうとしたのか忘れちゃった♪」
「アハハっ、なにそれ〜♪」
春佳が笑ってくれたお陰で少し気が楽になった。

