3人の き も ち


ベンチに座るえっくんが、私に気付いてニヤっと小さく笑うと、相手側を軽く指差す。


見せたい奴がいる。


確か、そんな事を言っていた気がする。

…そういえば、知り合いがいるんだっけ。
どの人だろう?



ピーーーーッ

終了の笛が鳴り響いた。


わらわらと、ベンチ周りは選手達が固まる。

監督が主将やマネージャー、他部員たちにあれこれ指示している様子が見える。

対戦側も、同じだ。


…こんな時のえっくんは、真剣で、格好良い。

モテるはずだよ。


現に、隣の弥生は目がハートになっている。

…あ、同じハート目の子が、あっちこっちに…。


「ふぅ」

つい、ため息が…。

幼なじみが格好良いと苦労するな。