ベンチに座るえっくんが、私に気付いてニヤっと小さく笑うと、相手側を軽く指差す。
見せたい奴がいる。
確か、そんな事を言っていた気がする。
…そういえば、知り合いがいるんだっけ。
どの人だろう?
ピーーーーッ
終了の笛が鳴り響いた。
わらわらと、ベンチ周りは選手達が固まる。
監督が主将やマネージャー、他部員たちにあれこれ指示している様子が見える。
対戦側も、同じだ。
…こんな時のえっくんは、真剣で、格好良い。
モテるはずだよ。
現に、隣の弥生は目がハートになっている。
…あ、同じハート目の子が、あっちこっちに…。
「ふぅ」
つい、ため息が…。
幼なじみが格好良いと苦労するな。
