「おー。こっそりツーショット撮ってきたぜー。」


小声の西島が、デジカメ片手にやって来た。


「撮れたか?」

「どれどれ?」

「頼んだ感じで?」

「もちろん。」


西島が嬉しそうに、カメラをカチカチいじる。


「…うわっ、恥ずかしいっ!」



そこには。

クラゲの水槽の前、指先だけ繋いで真っ赤になる2人の姿。

他にも、高原さんを優しく見つめる映樹の姿とか。

…ホント、恥ずい奴らだ。


「ふっふっふっ。弱味は握ったわ。」


嬉しそうに杉本は言うと、デジカメを持って花村達の所へ行った。


「なんにしても、良かったんじゃね?」


そういう西島に俺は頷いた。



皆にお礼がしたいから。

そんな、映樹の内緒のキモチが。
今日、込められているコトは。

やっぱり黙っていてやろう。


俺は、水槽の前で嬉しそうな映樹と高原さんを楽しい気持ちで眺めた。