誰も、映樹に伸の話をして来ない。
おかげで平和に過ごせる。
昼休み中、廊下で皆に言われたアレコレを考えていたら、亜矢子とすれ違う。
…アレ?
「…お前、最近絡んで来ねーな。」
助かるけど、と映樹は思って ポロリとこぼす。
すると亜矢子は心外だ、という顔をしてこちらを見てくる。
「当たり前でしょ。風当たりも無くなったんだし、もう必要ないじゃない。」
風当たり、が酷かったのは早苗だった。
…それは、つまり…。
絶句する映樹を亜矢子はチラリと見て視線を外す。
「ちゃんと早苗ちゃんに言った? 返事もらった?」
「えっ。」
「なによ、しっかりしなさい。早く言わないと、色々勘違いされて困るわよ。」
亜矢子の視線の先、早苗がいた。
