校舎の生徒用玄関昇降口あたりまで来て、映樹はようやく早苗の腕を離す。
「ご…ごめんね。」
「…何謝ってんの。」
急に謝る早苗にまで、思わずムッとしてしまう。
「だって、私と、その…付き合ってるなんて。
変なウワサだけど、聞かれたら…困るよね。」
聞かれたら、困る。
「…誰に。」
「えっくんの…好きな人に。」
その瞬間。
映樹は頭上に、重たいモノを落とされたかの様な衝撃を感じた。
マンガじゃあるまいに、と片隅で思いながらもクラクラしてくる。
ゲホッと、思わずむせる程に息苦しくもなった。
(困るのか)
(俺はこんなにも)
「お前。」
「え?」
「俺の好きな奴ってお前。」
