3人の き も ち


校舎の生徒用玄関昇降口あたりまで来て、映樹はようやく早苗の腕を離す。


「ご…ごめんね。」

「…何謝ってんの。」

急に謝る早苗にまで、思わずムッとしてしまう。


「だって、私と、その…付き合ってるなんて。
変なウワサだけど、聞かれたら…困るよね。」


聞かれたら、困る。

「…誰に。」

「えっくんの…好きな人に。」



その瞬間。

映樹は頭上に、重たいモノを落とされたかの様な衝撃を感じた。

マンガじゃあるまいに、と片隅で思いながらもクラクラしてくる。

ゲホッと、思わずむせる程に息苦しくもなった。



(困るのか)
(俺はこんなにも)



「お前。」

「え?」

「俺の好きな奴ってお前。」