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夏も過ぎて、部活動のあった3年生達は引退して、進級の準備に入る。
受験が無くても、既定値を越えていないと、高等科には上がれない。
だから学力テストは油断出来ない。
定期テストが2週間後に迫ってきていて、休日に苦手科目を教えてもらう約束をしていたので、えっくんのお家に行く。
病院経営者の四男坊さんは、仏頂面で玄関のドアを開けると、私の顔も見ないで、自室に上がるように言う。
「温かい飲み物、持って行くから、先いってろ。」
「うん。お邪魔します。」
階段を登って、えっくんの部屋に向かう途中、空き室だったところのドアが開いていて、荷物が置いてあるのが見えた。
広いお家はいいな、そんな事を考えながら、えっくんの部屋に入った。
