圭吾の忠告はちゃんと頭にある。
別に、無視しているわけではない。
でも時折見せられる、はにかむ笑顔が心の全てをさらっていく。
あれから半年近く。
以前の様な早苗に戻ってきていて、最近では、自分が傍に行くと嬉しそうな雰囲気になる。
嬉しくないはずが無い。
そう思うから、なるべく早苗が1人では無い時を選んで声をかける。
圭吾や弥生の心配を、ちゃんと考えて行動しているつもりだ。
時々、亜矢子が邪魔する様に映樹と早苗の間に、割って入ってくるのが、気に入らない。
遠慮する相手ではないので、渋い顔をして亜矢子を睨んでみても、柳に風とばかりに流される。
