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鞄を持って映樹は図書室に行き、先に来ているハズの早苗を探す。
壁ぎわ、二人用のテーブル席に座る早苗と…もう1人いる。
…どこかで見覚えがある様な無い様な、後ろ姿の女子。
左右にみつあみが2つ。
…誰だっけ?
早苗がこちらに気付くと、もう1人も振り返って、映樹を見て驚いた表情をする。
「…じゃあ、また明日。」
「うん、佐藤さんありがとう。」
気のせいか、緊張して顔が強張っている様な“佐藤さん”は、映樹の横を小さくお辞儀してその場を去っていく。
「…いいのか? 話しの途中だったろ?」
「うん。連絡事項は済んでたから。」
「連絡事項?」
「佐藤さん、あ、彼女ね、同じ委員なの。」
へぇ…。
だから見たことがあるのか?
正直あまり関心が無い。
早苗の向かいに座りながら、教科書類を取り出して、促す。
「んじゃ、始めるか。」
「よろしくお願いします。」
早苗がペコリと頭を下げ、それを見て映樹はクスリと笑う。
映樹はプレゼントのお礼として、テスト前の一週間、放課後に図書室で勉強会をする事にしたのだ。
