3人の き も ち


遅い部活を終えて家に帰る。
映樹が玄関に腰掛け、靴を脱いでいると、後ろから声をかけられる。


「おー、帰ったか?」

「お帰り、えっくん。」

振り向いた先、客間から顔を出す次男 柾希と…早苗。


俺の前で泣いて以降、学校外で昔の様に呼んでくる。

それを俺は止めずにいる。
嬉しいのか、苦しいのか…、わからない気持ちのまま。


と、いうより何故いるはずもない2人が、ココに?

唖然とする映樹の下に、早苗がゆっくり近づく。

「これ、プレゼント。」


驚いた。

いつもは人のを運びがてら、ついでにって感じで渡されてきたから。
こんな風に渡されて…、


「えっくん?」

名前を呼ばれてハッとする。
やばい、泣きそうだ。


「あんがとな。」

ぶっきらぼうに言って受け取ると、家に上がって背を向ける。


「…わざわざ、ありがとう。」

「えっくん、おめでとう。」


嬉しくて ……哀しい。