「ハナムーは?」
「え、と…、弥生なら購買に、」
ニッコリ圭吾が問うと、戸惑いながらも早苗が答えている。
うっすら頬がピンクなのは、緊張してるせい…。だよな。
思わずムッとする。
と、映樹のそんな気配を感じたのか、圭吾がププッと吹き出して笑う。
なんだよっ。そう、悪態を吐こうとした映樹を遮る人物が現れた。
「私も混ぜてー。」
明るい声で寄って来ると、当たり前の顔をして、映樹を押し退ける様に圭吾との間に割って入る。
押された映樹は、早苗の正面から机の角を挟んだ横に。
(近いっ)
内心の動揺を必死に隠す様に、割り込み犯に文句を言う。
「イテーだろっ。」
「早苗ちゃん、一緒してイイ?」
「杉本!」
「何? 別にイイでしょ、早苗ちゃんを捕ったりしないわよ。ねー。」
「アッハッハ。」
圭吾が笑い出す。
