3人の き も ち


映樹が部活動に復帰して。
早苗とは帰宅時間が違うから、当然送って帰ることができない。

その代わりに。と、一日に一回は早苗のクラスに顔を出し、他愛ない会話をする様にしている。


部活を再開して、映樹の中に少し余裕が生まれたのか、一緒に帰宅していた時より、早苗の様子がよく見えてきた。


(痩せた…)

いや、違う。

(やつれた)


落ち着いてきたと思って、どこかで安心してしまった。

自分のことでいっぱいいっぱいだった。
己のマヌケさを蹴り飛ばしたい位腹が立つ。


どのくらい、食が落ちたのだろう。


確認するため弁当を片手に、圭吾を連れて早苗のクラスに行く。


驚いている早苗と、席を挟んで向かい合う位置に、腰掛ける。

「お邪魔するねー、一緒してイイ?」


黙って座り、愛想笑いさえ無い映樹の代わりに、圭吾がニッコリ笑って言う。

そして圭吾は、隣の空いてる机をガタガタ引き寄せ、映樹の横に腰を下ろす。