自宅までのほんの数分。 今日はきれいな星が出ている。 立ち止まって眺める。 あそこまではどの位の距離だろう。 自分が想いを忘れることが出来ないのに。 忘れろ、なんて言えない。 俺の願いはあいつの幸せ。 いつか―― 笑顔で誰かの隣にいる早苗を見守る日がくる。 その時、俺はちゃんと笑えているだろうか。 (けれど) 胸の内からこみ上げてくる何かが、目に溢れ出しそうで慌てて上を向く。 この想いはどこへ行くのだろう。 あの星まで飛ばして消えるのならば、とうの昔にそうしている。