予想に反して小さいそのフェリーに乗り込む。
乗客、と言っても数人だがそれに揺れるほどの容積。

「あとでデッキに出てみようよ」と言う彼に、
「うん」と言って笑った。

景色を見たい私は窓側に座りたかったけれど、
彼の後に続き、希望はかなわなかった。

それでも彼ごしに見る景色も悪くない、と思う。


彼といる私は、こんなにも前向きだ。