「今日早いじゃん。」





「目が覚めたの。する事ないから早く事務所に来ただけ。」





「お前今日仕事するな。」





「…何言ってんの?冗談やめてよ。私から仕事取ったら何も無くなる。」





ソファーに座る私の隣に腰を下ろした社長からは、高貴な花のような匂いが漂っていた





首筋に伸びてきた彼の腕からは一層強い香りがする





首に触れた社長の指先は冷たく、脈打つ部分をゆっくりとなぞっていく





「これじゃあ商品として欠陥品だ。客の気分を害する。」





「誰も首のキスマークなんて気づかないよ。そんなところ見てない…」





「分かってないねお前は。いいから今日は仕事休め。俺の命令だ。」





そう言うと社長は事務所を出て行ってしまった