シャッ!!!

私と、近付いてくる影を隔てていた布が除かれる。


――っ!!!


呼吸をするのも忘れたまま、固まる私を刺すように見る目。

その瞬間、表現しがたい恐怖と寒気が全身の血を凍らせた。

見覚えのある顔――

人間の頭に、鳥のような体…

ジャスミンと一緒にいる時に、襲ってきた者と同じ風貌だった。


『お前は――』

私の体を上から下まで舐めるようにして見、確認した後、ゆっくりと手を伸ばす。

『ふっ、自ら飛び込んできてくれるとは…』


――や、やだっ!!

叫びたいのに声も出てこない。

ジリジリと彼の手が私に迫ってくる。


――――捕まるっ!!

少しでも恐怖から逃げたくて、体を硬直させながらも後ろへ下がる。





―――――だ、誰か助けて!!!



後、ほんの数センチ――

その手が触れるところまできて―――






『美琴!!』


ジャスミンが私を呼ぶ声が聞こえ、まるで肉体が幾つにも裂かれるような痛みと気持ち悪さに襲われる。

先程とは違い、苦しくて酸素を体に取り込もうと、空気を吸い込もうとする。

『美琴!戻れ!!』


自分でも驚くぐらい、目一杯の力で呼吸を始めると、気動が冷たい空気に悲鳴をあげた。

その痛みに促されるように、一気に覚醒した私が目を開けると、目の前にいたのは先程までの者ではなく、心配そうに見つめるジャスミンだった。