それにしても、不思議な扉…。

興味本意でそっと扉に触れてみる。
縁に沿って並ぶ宝石だろうか、石達が自らの意思で光りを放っているみたいだ。

ぼぅ――

気のせいだろうか、さっきまでとは違い、輝きが増したような……。

――!!!!!

急に目の前が真っ白になり、目も開けていられないような光りに包まれる。

『こ、これは…。』

先程、私に声をかけてきた人の驚きの声が聞こえて、ゆっくり目を開いてみる。

私の瞳に飛びこんできたのは、広い部屋の中央に鎮座する王の姿だった。

状況が掴めず固まっていると、王はこちらに振り返り、立ち上がる。

『よく来た。…シド、ご苦労だった。下がってくれ。』


驚きを見せた顔は、一瞬にして冷静さを取り戻し、軽く一例してシドと呼ばれた男はその場を去って行った。

取り残された私は硬直したまま…。

何が起こったかわからずに、出した手も引っ込められずにいた。

『…何を阿呆面している?中へ入れ。』

張り詰めた空気が解け、我に返ったのはいいけど…阿呆面って何よ!

『な、阿呆じゃないし…』

喉まで出かけた怒りをぐっと抑え、渋々中へ足を運んだ。

また喧嘩売っても仕方がないし…。