カーン……

転がった鉄の仮面が打ち付けられる音だけが響き渡る。


どうする事もできずに身を固まらせる兵士達。

流石のジャスミンも動けず喋れず、目を見張る事しかできずにいる。


王が顔を上げた瞬間、怒りはどこかへ消えてしまう程、私は吸い込まれそうになった。


真っ黒な黒髪に…


―――白銀の瞳。

横暴な発言をするようには見えない綺麗で端正な顔立ちに、魅入ってしまう。


『……ジャスティス。』

緊張を解いたのは、王自身だった。


『はっ!申し訳ありません!』

私の身を守るように、王と私の間にジャスミンが慌てて入り込む。


『その者を、我が部屋へ…。』

一言だけ発すると王は玉座を後にし、私の前から静かに去っていってしまった。

あそこまで言った私には、お咎め無しなの?

それとも…部屋で???

急に怖くなってうずくまる私を、ジャスミンは甘噛みでまた背中に乗せる。


『ジャッジ、ミスティ、後は任せた。』

その場を二匹に任せ、ジャスミンは歩き始める。


『ごめんなさい…。』

消え入りそうな声で謝るのが精一杯で、涙が出るのを必死に隠した。


結局、真実は聞けないまま、私達もその場を後にする。


恐怖と不安で震えが止まらないまま、私はジャスミンにしがみつくしかなかった――。