『目的を果たし、その娘を無事連れて来た事は褒めよう…。だが…私の為にあるお前の力を使い、異世界の道を開き、それによって遅れた事は不愉快だ。独房で暫く考えるのだな。』

不愉快??

この人は何言ってんの??

自分の気分の問題で、罰を与えるって…


『王のおおせのままに。』

文句を言うわけでもなく、釈明もしないで了承したジャスミンにも腹が立ってきた。

『…っかじゃないの…』

『美琴!』

ジャスミンが止めに入るけど、一度キレた私の怒りは収まらない。

どよめく回りを他所に、ずかずかと王に詰め寄った。

『あんた、馬鹿じゃないの?理由も聞かずに罰を受けろ?どういう感覚なのよ!』

王を取り囲んでいた剣志達が、私を制止させようと剣を抜き始める。

『やめろ。』

王の一声で、剣志達は警戒しながらも元の立位置まで戻った。

『何がおかしいのだ。今までこうして従わせてきた。皆、私についてきてる。国はまとまっているではないか。』


『だからっ!だから馬鹿って言ってるのよ!!そんなんじゃ、いつか崩れ落ちるに決まってるじゃない!王様として恐れられているだけじゃ従わせているだけで、信頼して着いて来る者なんていなくなるからよ!!!』

大声で叫び、怒りをあらわにしながら王に詰め寄った。

それでもまだ収まらなくて…


『人と話す時くらい……目を見て話しなさいよ!!』

我ながら、大胆だとは思った。
正気なら、絶対にできなかっただろう。深々と被った王の鉄の仮面に手をかけると、勢いよく外して放り投げた。