時の雫 白銀の瞳

ジャスミンを抱いたまま、冷えきった階段を上がる。


『ふぅ…。疲れた。』

変な体験?も、旦那との生活も。


『美琴。大丈夫か?』

部屋のドアを閉めた瞬間、私の腕から窓際に移動すると、ジャスミンはその瞳を赤く変えて話し始めた。


『な、な、な…』

喋れるんじゃん!!

驚いたのと怒りとで、上手く言葉が出てこない。

さっきの何?!猫の振りしてたの?!


……あ、いや、猫か。

自問自答しながら、百面相の様に表情を変える私を無視しながら、ジャスミンは話続けた。


『大丈夫なようだな。今回は上手くいったが、次は駄目かもしれない。美琴、説明の続きを聞きたいか?』


ギクッとした。

明確になってしまったら…

真実がわかってしまったら、逃れられない気がして…。

でも、いずれは知らなきゃいけない事なんだって、どこかで感じていた。


『…知りたい。夢でないのなら。教えて、ジャスミン。』

拳を握りしめて、困惑を隠しながら、真っ直ぐジャスミンの瞳を見つめる。



何も考えずに毎日を送るようにしてきた私にとって、この時はまだ、その真実に期待する気持ちがあったのかもしれない。


だけど…

真実を知った瞬間から、私の人生は大きく変わる事になる。