思い出すのに集中しても、ジャスミンといつ出会ったのかが中々思い出せない。

『敵うなんて思ってはいませんよ…クックッ。始めからね。だからこうして仲間と共に来たんですよ。』


静寂しきっていた廻りが、ざわざわと騒ぎ始める。


何匹…いや、何十匹…気配を感じ廻りを見渡すと、いくつもの光る目が、こちらに向けられていた。


『ジャスミン、囲まれてる!』


更に倍増した恐怖は、私を震えてさせ、考える余裕さえも奪っていった。


『美琴。安心しろ。お前を傷付ける者は、私が許さない。』

そんな事言ったって、この状況…どうやって回避するのよ!

心の中で叫ぶけど、言葉に出来ず、涙ぐむのが精一杯だった。


『早く渡していただかないと、いくら貴方でも、無傷というわけにはいきませんよ。』


相手は戦闘体制で、その凄まじい殺気は、私でも感じる事ができるくらいだった。


『一人ならよかったが…万が一、お前を奪われたりしたら、私の立場もないな…』


て言うか、なんで私を奪い合うのよ?!

相手が言ってる事もだけど、ジャスミンが言ってる事も意味不明で、泣きたい気持ちと一緒になって困惑してしまう。


『美琴…。一旦、向こうの世界へ逃げるぞ。』


『δζΥΦ∬……』


又もや、私には解読不可能な言葉をジャスミンが呟いた瞬間………焼けるような光を身体にうけ、意識が遠退いていく…



―――待ってよ…

私を置いて、話を進めないで……


困惑から怒りに変わる一歩手前で、私の意識はぷつりと切れた―――。


―――謎は解けぬまま―――。